【ドル円の予想】日銀のYCC上限キャップ1.0%への引き上げは事実上の上限撤廃?【週間ドル円予想 2023/7/31~】

ドル円の週間予想

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【ドル円の予想】日銀のYCC上限キャップ1.0%への引き上げは事実上の上限撤廃?【週間ドル円予想 2023/7/31~】
日銀がYCCの柔軟な運用を行うとし、上限キャップを1.0%に引き上げました。金融緩和姿勢は維持しているものの、植田日銀総裁の定例記者会見での発言では、長期金利は0.5%周辺での推移となり、1.0%へは達しないだろうとの見通しも離されており、...

ドル円相場の予想と注意ポイント

チャートではボリンジャーバンドとエンベロープと一目均衡表を表示しています

これから1週間のドル円相場の予想は週前半に上昇し半ばから下落、予想値幅は139円80銭から142円00銭です

予想値幅下限は一目均衡表の転換線の価格を、上限は7月21日の高値の価格を目処に設定、火曜日までは上昇する展開も、水曜以降に円高方向へ推移を開始、全体的には狭い価格帯でのレンジ相場になる展開を予想します

ここ1週間のドル円相場の値動きですが、月曜日はFOMCや日銀金融政策決定会合を控える中、ここまでの円安が進んだ持ち高調整の円買いが優勢となり円高、火曜日は発表された米消費者信頼感指数が市場予想を上回り円売りが一時的に出る場面はあったものの、FOMCと日銀金融政策決定会合を控えて持ち高調整の円買いが優勢で円高、水曜日はFRBがFOMCで2会合ぶりに0.25%の利上げを決定、会合後のパウエルFRB議長の定例記者会見での発言では次回会合での利上げを強く示唆しなかったと受け止められ円高、木曜日は日経新聞がYCC修正報道を行ったことで、日本の長期金利が上昇し日米金利差が縮小するとの観測が強まり円高、金曜日は日銀がYCCの運用見直しをおこなったものの、日米金利差の水準は変わらないとの見方から円売りドル買いが進み円安推移して週の取引を終えました

前回は円高推移を予想、金曜日には日銀の金融政策に週初では想定していなかったYCC修正があったことでボラティリティが高まり、かなり大きな値幅での値動きとなっています

日銀の金融政策修正によって日本国債が買われ、そこから円高推移が発生する危険性があったため一旦は強く円高推移をする場面もありましたが、その後の推移でも日本の10年債利回りは今までの上限である0.50%は上抜けたものの0.57%あたりまでの上昇で留まっています

植田日銀総裁の定例記者会見での発言でも0.50%付近での推移になるだろうとの見通しをお話しされていましたが直近ではその通りの推移となっていて、金曜日の最終的な円安推移は日米の金利差がそこまで大きく縮小しないとの観測から円安方向へと切り返したものと考えています

この辺りの値動きを予想できればトレーダーとしてすごいと思うのですが、私はその域には達していない状態だと再認識しました

今後中長期で注意したいと考えているのは、日本から発表される経済指標の中で日銀の金融政策に影響を与える可能性のあるものがどのような結果を出してくるかです

まだYCCの上限が撤廃されたわけではなく、金融緩和も事実上継続しているわけですが、今後利上げなどを行う必要性が迫ってくる兆候が見られた場合、先んじてYCCの上限は撤廃されると思います

今まではアメリカの金融政策に重きを置いて経済指標を見てきましたが、ここからは日本の経済指標も重要度を徐々に増していくのではと警戒しているといった感じです

これから1週間の主なイベントですが、経済動向の強弱感だけではなく、中央銀行から出てくる材料がまだ続く点にも注意が必要だと考えています

月曜日に日本で発表される鉱工業生産は前年同月比では鈍化見通しで円安バイアスに、ドイツとユーロで発表される四半期GDPは強弱がどちらに出てもドルと円の双方に同一バイアスがかかりニュートラル、アメリカで発表されるシカゴ購買部協会景気指数は強い見通しで円安バイアスと予想しています

火曜日の日本の失業率は横ばい見通しでニュートラル、ただし強い結果が出てきた場合にはこれまで以上に日銀の金融引き締めが意識される材料となるかもしれない点に注意が必要だと考えていて、リスクとしては円高です

オーストラリア中央銀行では0.25%の利上げを行う見通しですが、こちらはニュートラル、アメリカで発表されISM製造業景況指数は強い見通しで円安バイアスと予想しています

水曜日には日本で日銀金融政策決定会合議事要旨の発表があり円高バイアス、アメリカで発表されるADP雇用統計は弱い見通しで円高バイアスになるのではと予想しています

木曜日にはイングランド銀行が0.25%の利上げ見通しですが材料としてはニュートラル、ベイリーBOE総裁の発言でドル高バイアスがかかる可能性を考えてはいますが、ドル円の視点ではニュートラルではと考えています

アメリカで発表される前週分新規失業保険申請件数の市場予想は出ていませんがインパクトが強いですので要注意、ISM非製造業景況指数は若干弱い見通しで円高バイアス、製造業新規受注も若干弱く円高バイアスと予想しています

金曜日のカナダの新規雇用者数と失業率は弱い見通しで、アメリカの雇用統計も弱いのではとの観測が広がると円高バイアスに、その後発表される米雇用統計では市場予想では弱い内容となりそうで、円高バイアスのなるのではと予想しています

火曜日までは円安バイアスがいったんかかるものの、水曜日以降は円高方向へと転じるといった予想です

チャートのテクニカルでは、月曜日にエンベロープ中央線に頭を抑えられるように反落を開始、木曜日にはボリンジャーバンド中央線の下抜けを見せますがボラティリティが高い状態となり、上髭でエンベロープ中央線にタッチしています

終値で見ると予想値幅下限に設定していた139円50銭あたりで留まってはいるものの、非常に下落の勢いが強く相場が更に円高方向へ進む可能性もあった値動きだと思います

ただこの辺りの値動きに関しては、日銀の金融政策への思惑がバイアスとしてかかっていましたので、金曜日も併せてボラティリティが高かったことは大きな材料を相場が折り込んだ状態と考えたいと思っています

金曜は下値としてはボリンジャーバンド下限への接触を見せるまで広がりますが、終値ではエンベロープ中央線の上抜けを見せています

下落相場が発生している際の上値目処まで一気に切り返している状態です

状態としては7月14日の安値を下抜けておらず、7月21日の高値を上抜けていないことから、三角保ち合いに近い状態だと考えています

今のところエンベロープ中央線が上値抵抗として機能してしまう可能性が残されている点は上昇方向で考えるとネガティブではあります

また単純移動平均線で考えると、直近の推移では25日と75日の2つの線に挟まれるように上下していますので、このまま両単純移動平均線が狭まるように推移する間でレンジ相場を展開する可能性がある点にも注意が必要だと考えています

この展開となった場合は、ある程度相場が煮詰まった後に上下どちらかにブレイクするものと考えられます

インジケーターではADXは30台を横ばい気味に下落推移、現在は相場の方向感が失われている状態だと判断しています

RSIはRSIシグナルの上を上昇推移、52まで戻してきました

現在のところ7月半ばを底に反発している状態で、RSIシグナルの上抜けを見せた後はRSIシグナルを下支えに反発する動きを見せていて、方向感としては上昇方向へと進みやすい環境だと考えています

RSIシグナルが上向きになっている点も上昇方向へ動きやすい環境を表していると思います

MACDはMACDシグナルの下を上昇推移、もう少しで上抜けを見せてきそうです

現在は相場の方向感が失われている状態と判断していますので、MACDのシグナルとしての信頼度はそこまで高くないと考えています

ただADXが30と高水準を維持していることから、ここから強い展開が発生した場合、再度上昇トレンド相場が発生する可能性は否定できません

今のところその判断はできない状態ではありますが、一旦の下落が終わり底打ちしたような兆候はあると考えています

ここから先は円高方向に強く推移する場面ではないのではという判断です

経済イベントの発表内容を考えると、火曜日あたりまではまだもう少し円安推移を見せて上昇してくる可能性があるのではという印象があります

一方でFRBの利上げは7月FOMC以降も行われる可能性が残されてはいるものの、現在のところ9月FOMCでの利上げ確率はかなり低いと考えられています

FedWatchによると9月利上げが見送られる確率は80%となっていて、これはほぼ確実に利上げが無いと見込んでいると考えられる割合です

もちろん週内にはアメリカの金融政策への観測を左右する雇用統計などの大切なイベントが控えていますし、9月FOMCまでにはもう1度雇用統計などの重要指標を挟みます

そこで観測が変化する可能性はあるものの、今のところ利上げはないとの見方で良いかと思います

一方で日銀の金融政策に関しては、現在のところ金融緩和を維持していることから、直近では大きな金利変動が起こることはない可能性もあります

その場合であれば日米の金利差は大きな変動をしないことから、ドル円相場はある程度の期間、直近の経済指標の強弱による金融政策への観測や、実需に左右される形でレンジ内を上下する展開に入る可能性が考えられます

ただ日銀はここからさらに緩和することはなく、今後考えられる方向性は金融引き締めで良いと思いますし、その前には再度YCCの上限撤廃や引き上げを行ってくるものと考えられ、その際には日本の長期金利は上昇傾向となり日米金利差の縮小による円高バイアスがかかる可能性があるのではと考えています

直近に関しては行き過ぎた金融政策への見通しを折り込むための巻き戻すような値動きが継続する可能性は考えられるものの、少し長い目で見ると相場の方向感は落ち着き横ばい気味のレンジ相場へ変化、その後年後半にかけて全体的に円高方向への調整が起こるのではと見込んでいるといった感じです

以上のことからこれから1週間のドル円相場は、火曜日までは上昇する展開も、水曜以降に円高方向へ推移を開始、全体的には狭い価格帯でのレンジ相場になる展開を予想します

ここからは予想外の動きをした時に注意していただきたいポイントです

上昇方向は142円50銭の上抜けです

ここまで強い上昇が出てくると、ボリンジャーバンド上限を押し広げるバンドウォークに入っていく可能性があります

週内の値動きとしてはそのような強い円安推移が発生する要因は無いと考えているため全く心当たりがありません

ドルがよほど強くなるか、日米金利差が拡大傾向にある場合に出てくる可能性のある推移ではありますが、週前半のイベントで起こりえるとすればJOLTSやADP雇用統計が極端に強く、FRBの9月利上げ観測が強まった場合だと考えられます

ただその場合でも上昇しても直近の高値、145円周辺までの上昇で頭打ちになるとは思いますので、そこまで一方的な円安推移が発生し続けるとは考えていません

経済指標の材料以外でそこまで円安が進むとも考えづらいのですが、仮に他の材料で円安推移が強く発生した場合にはその時に適時判断をし直したいと考えています

下落方向は138円40銭の下抜けです

目処にしているのは6月1日の安値です

6月に横ばい気味に推移した下値を下抜けて来た場合、そのまま直近の安値137円35銭までの下落可能性が出てきます

今までは日銀の金融緩和とYCCによる長期金利の0.5%での上限キャップがあったため、ドル円はおおむね142円周辺を中央値に上下する展開を想定していましたが、今後日本の長期金利が上昇することを考えると、140円前後を中央値とした推移に切り替わってもおかしくないと考えています

今のところ日本の10年債利回りの推移は安定していて、0.50%からそこまで大きく乖離していませんので、相場が強く下落方向への調整を行うとは想定していませんが、金融市場が早めに折り込みに行く可能性は否定できません

仮に3円下方向にレンジが修正された場合、上限は142円、下限は134円あたりまで広がります

繰り返しになりますが現在のところ日本の10年債利回りはそこまで上昇していないため、現段階でレンジがそこまで引き下げられるとは考えていません

ただ強めの下落が発生した場合には、金融市場が一歩早く折り込みに入っている可能性は否定できませんので、その点には注意しておいた方が良いのではと考えています

そのため下抜けが発生した場合、下落する先は最大で134円周辺までを見込んでいます

あとがき

これまで日銀が行っていた金融緩和に対してYCCの修正という形で手を加えた黒田前日銀総裁に続き、植田日銀総裁もYCCの柔軟運用へと舵を切りました

これまで0.50%で上限キャップを設けていたことから、投機筋による日本国債の空売りを呼び込むこととなり、この辺りの動きには非常に苦慮されたのではと思います

アメリカからの報道でいったん日本国債へのショートポジションが手仕舞われるような推移もあり、YCCの上限を変更するには非常に良いタイミングだったのかもしれません

植田日銀総裁の定例記者会見を拝見した限り、YCCの柔軟的な運用は金融緩和姿勢を転換するものではないとのご発言もありましたし、インフレ目標は2.0%から変更もありませんでした

そのため引き続き日銀の金融緩和姿勢は継続されるものと考えていますし、大筋での金融政策の変更は行われないのだろうと考えています

一方でYCCの上限を1.0%まで引き上げ柔軟に運用するとのご説明の際に、実際には日本の長期国債の利回りは0.5%から大きく乖離せず、1.0%まで達することは無いだろうとの見通しも示されていました

このことからYCCの上限キャップが1.0%に引き上げられたというのは、一気に撤廃をするとショックが大きいことから段階を踏んだものの、事実上の撤廃と同じ意味なのではという印象もあります

今回のYCC修正の意義ですが、これまでアメリカやオーストラリアで同様の政策を行った際に、最終的にYCCの上限キャップを引き上げる必要性に迫られ対応を後追いでしようとした場合、そのタイミングでは投機筋による国債のショートが行われてしまい、上限キャップを一気に撤廃するしかない状況に追い込まれる可能性が高いことから、先んじて対応をしておくとのことでした

実際に直近の日本国債には多くの投機的取引が集中していましたし、必要に応じて徐々に引き上げた場合には、その都度投機筋の標的となってしまう可能性が高かったと思います

その考え方で行くと、現在は金融緩和を継続していることから、事実上まだ達することが無いだろう1.0%まで上限キャップを引き上げていますので、短期金利の誘導目標を引き上げる動きをする前にはYCCの撤廃やさらなる上限の引き上げをすることで、投機筋の標的とならないように先んじて対応をとる動きを見せる可能性が想定できるかもしれません

今後の日銀の金融政策が変化するタイミングを計るうえで、今後もYCCの上限キャップ引き上げや撤廃への動きには敏感になっておいた方が良いかもしれないなと、今回の植田日銀総裁の定例記者会見を拝見して考えました

それでは今週もご覧いただきありがとうございました

土曜日のしーさんの週間ドル円予想は以上です

【インジケーターの基本設定(変更する場合もありますのであくまで参考です)】
・単純移動平均線
5・25・75・200日
・一目均衡表
転換9・基準線26・先行スパン(1)26(2)52・遅行スパン26
・ボリンジャーバンド
期間9・乗数(1)2(2)1
・エンベロープ
期間20・乗数1.5
・MACD
期間12・長期26・シグナル9
・DMI
DI14・ADX14・ADXR14
・RSI
期間14・シグナル9

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