電源ユニットの規格
電源ユニットには、どのような用途のパソコンに使用するのかによって、ある程度の種類に分けられています。
その種類わけが規格という形であるのですが、主に違うのは電源ユニットのサイズです。
おおざっぱにではありますが、サイズが大きくなると電源容量やコネクタ数が増える傾向にあります。
もともとこの規格は、独自の形状ばかりだったマザーボードの形を統一することで、パソコンケースや部品を共用できるようにしようと言う目的で作られました。
それと同時に、CPU・メモり・ハードディスクや各種ドライブの位置、電源のコネクタ配置なども規格の中に盛り込まれて、1つの規格に対応する部品を集めれば誰でもパソコンを組み立てることができるようになりました。
1995年にATX規格が発表されてから、いまだに使える便利な分類です。
それでは、各規格の特徴をちょっとお話します。
ATX
デスクトップパソコンに用いられる主流な規格です。
ATXからATX12V、ATX Ver2と、ATXの中でも規格が変化していますが、最新の電源ユニットであればほとんどの場合最新のATX規格に対応しています。
EPSと共用で使用できる電源ユニットもあり、その場合はATX/EPSと記載されていたりします。
先ほどの規格の変化の話が関係しているのですが、新しいタイプのマザーボードに使用する場合、2013年以降の省電力待機状態であるC6/C7ステートに対応している必要があり、電源ユニットを新しく購入する場合はあまり気にする必要はないでしょうが、中古品を使いまわす際には注意が必要です、私も気を付けます。
このお話を書いている時点での主流なサイズは、幅が150mm、高さが86mm、奥行きが140mmで、奥行きの幅は123~180mmと幅がありますので、奥行きのサイズが大きい電源ユニットでは内部での干渉が無いかの確認は必要です。
そのあたりは、パソコンケースの仕様書などに記載してあるはずですので、確認してくださいね。
BTX
ATXの次世代規格を目指して作られました。
Intelが当時のCPU開発を発熱しても高性能な方向に向けていたため、冷却を効率よくしないと困ったと言うタイミングで出てきました。
CPUの都合でATX互換の無い新しいBTXを出されても正直困ると、正直はやりませんでした。
それに、言い出しっぺのIntelがその後に低発熱モデルのCPU開発に舵を切り、ATX規格でも十分に冷却できるようにもなりました。
今では、一般的な自作パソコンを作ろうと思っても、ほとんど目にすることはありません。
EPS
サーバーやワークステーションと呼ばれるタイプのパソコンで主に使用される規格です。
CPUが2つ使用されていたり、大量のハードディスクが接続されていたりと、電源容量がかなり大きい必要があり、長時間の連続使用にも耐えられなければなりません。
電源容量と耐久度が優れている代わりに、価格は高いです。
ATX電源ユニットの一部もEPSとして使用できる製品があります。
このお話を書いている時点での主流なサイズはATXと同じで、幅が150mm、高さが86mm、奥行きが140~180mmです。
サーバーやワークステーション用のケースで使う場合はかなり余裕があるとは思いますが、一応内部での干渉が無いかの確認は必要です。
SFX
小型ケースに採用されている規格で、MicroATX電源とも呼ばれています。
二つの名の通り、MicroATX規格のマザーボードに対応した電源ユニットです。
ミニタワーやスリムタイプ、キューブタイプのパソコンに採用されることが多く、サイズはATXより小さめです。
一概にSFXだからATXに劣っていると言うわけではなく、製品によってはATX同様のスペックを持つ製品もあります。
しかし、静穏性を左右する冷却ファンの大きさだけは、ATXには敵いようもありません。
このお話を書いている時点での主流なサイズは、幅125mm、高さ63~64mm、奥行き100mmです。
幅と奥行きの表記が混在していますが、排気方向のサイズがあっているか、ケースと電源ユニットの組み合わせには一応確認が必要だと思います。
SFX-L
SFXの奥行きを130mmまで拡張した電源ユニット規格です。
SFXとあまり変わりませんので、SFXと同じように扱われる場合があります。
そのため、SFXの中には奥行きの深い電源ユニットが存在してると頭の片隅に覚えておいていただきたい感じです。
このお話を書いている時点でも、SFXで検索しても奥行きが120mmや125mmの物もありますので、ぜひご注意ください。
FlexATX
SFXより小型で奥行きが長い特殊形状の電源ユニットです。
あまり一般には出回らない規格ですが、数は少ない物の手に入らないほどのものでもありません。
冷却ファンのサイズは小さくなりますが、出力もあまり大きくありませんので、とんでもなくうるさいわけでもありません。
このお話を書いている時点での主流なサイズは、幅81.5mm、高さ40.5mm、奥行き150mmです。
TFX
スリムなブック型ケース向けの電源ユニットです。
あまり一般には出回りません。
FlexATX同様、ファンのサイズはどうしても小さくなります。
このお話を書いている時点での主流なサイズは、幅85mm、高さ65mm、奥行き175mmです。
ここでちょっとノートパソコンにも使われるACアダプタに関してもお話します。
実は、デスクトップパソコンにもACアダプタを使用する製品が売っているには売っています。
ちょっと特殊なのですが、お話させていただきます。
ACアダプタ
主にノートパソコンで使われるACアダプタですが、実は小型パソコンにも使われます。
デスクトップパソコンの電源ユニットはパソコン本体への組み込み式が一般的ですが、パソコンの動作に必要な電源容量が少なくて済む場合は、ACアダプタを使用できます。
ACアダプタを使用すると、家庭用の100V交流電流をケースの外で直流に変換しますので、ケース内に変換ロスで発生する熱を持ち込まずに済みますし、ほとんどの場合電源部分をファンレスにすることができます。
小型パソコンとして販売されている場合には、ACアダプタを採用しているモデルもあるかと思います。
ただ、まったくゼロからの自作パソコンで使うかと言われると、ちょっと扱いが難しすぎるのではと思います。
無理かと言われるとできないこともありませんが、直流で20V近い電圧出力をDC/DCコンバータで5Vや12Vに変圧しなければなりませんので、専門的な知識や専用の部品が必要になってくると思います。
電源ユニットの規格はパソコンケースに取り付けられるかと大まかな性能の指標
実のところ電源ユニットの規格はあまり重要ではなくて、あなたの使うパソコンケースに取り付けることができる寸法で電源容量とコネクタが足りるのかが大切です。
ではなぜこんなに細かく規格が分かれているのかと言えば、それはある程度簡単にどの電源ユニットを選んだら良いのかを私たちにわかりやすくするためです。
大切なのは、寸法・電源容量・コネクタです、規格があなたの欲しい物でも、この3つはちゃんと確認してみてください。
コメント